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2012年2月

2012年2月 3日 (金)

第16回「震災対策技術展」政務調査視察

視 察 日:平成24年2月2日(木)~2月3日(金) 
視察内容:第16回「震災対策技術展」
視 察 者:簗瀬 太

<震災対策技術展の概要>
催事名:第16回「震災対策技術展」
The 16th Technology Against Earthquake Expo
会 期:2012年2月2日(木)~2月3日(金)
会 場:パシフィコ横浜 展示ホールB/アネックスホール
主 催:第16回「震災対策技術展」実行委員会
内 容:展示会/シンポジウム・セミナー/震災対策講演会
後 援:内閣府(防災担当)/文部科学省/国土交通省/気象庁/総務省/総務省消防庁/防衛省/経済産業省/神奈川県/横浜市/全国知事会/全国市長会/全国町村会 他

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出展対象:
 ●地震対策
  耐震・制震・免震技術、製品/耐震用配管・継手/地震計・緊急地震速報/BCP/
災害トイレ/非常食、飲料、燃料/テント、シェルター/浄水器/通信・情報システム/安否確認システム/家具転倒防止機器・金具
 ●水害対策
  止水版/河川水位測定センサー/ポンプ関係/洪水対策技術
 ●土砂災害対策
  GIS,GPS/雨量計/土砂・落石探知システム
 ●落雷対策
  避雷器/コンピューターバックアップシステム/雷防護製品
 ●津波対策
  ハザードマップ/監視システム/予測システム
 ●突風・竜巻対策
  気象監視技術/解析システム/警報システム/飛散防止フィルム
 ●火山対策
  BCP/観測システム・機器/風速・風向計/低周波測定器

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<セミナー/震災対策講演会>
会場内では、54件のセミナーや震災対策後援会が開催されました。
セミナー等は当日参加も可能ですが、事前申し込みとなっておりましたので、下記の3つのセミナーに参加申し込みをしました。

2/2 10:30~12:00 内閣府 主催
東日本大震災の対応と今後の防災対策について

申し訳ありません。前日からの雪のため、名鉄が15分ほど、新幹線が50分以上ほど遅れてしまい、このセミナーには間に合いませんでした。

2/2 13:00~13:45 株式会社ウェザーニューズ 主催
自治体との連携による住民参加型 自助・共助減災の取り組み「減災プロジェクト」について
講師:減災プロジェクト 宇野澤達也氏

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「減災プロジェクト」とは、一般の市民、市職員、ウェザーニュースの利用者で、市内にお住まいの皆さんなどによって、市内で感測された情報や、災害時の被害の情報などを共有し、市民自らが自分に必要な情報を得ることで、自助・共助活動を支援し、気象災害による被害を減らす「減災」に取り組む試みです。

「減災プロジェクト」サイトの運営は、ウェザーニューズが行います。コンテンツ内容は、すべて無料で利用、閲覧出来ます。携帯電話サイトにも対応します。
市民、市職員の皆さんからは、減災リポートを送って頂くことが出来ますが、これは被害が発生した際のみでなく、通常時もウェザーリポートとして体感などを送って頂くことが出来ます。いざという時だけでなく、日頃から親しんで頂き、習慣性を高めていくことで、発災時のアクションに結びつけます。
また、過去の事例から、該当地域で被害が発生しそうな状況となった場合、予め登録された方には、「減災メール」が送信され、このメールを元に滅災アクションを取って頂く事を想定しているとのことです。

最後に、実際に運用している名古屋市「なごや減災プロジェクト」の事例紹介がありました。

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2/3 10:30~12:00 東京大学 主催
大都市の帰宅困難者問題を考える
東京大学大学院 工学系研究科都市工学専攻 助教 廣井 悠氏

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帰宅困難者とは何か?

帰宅困難者の定義
「自宅が遠隔なため。帰宅をあきらめる人々や一旦徒歩で帰宅を開始したものの途中で帰宅が困難となり、保護が必要になる人々」

帰宅限界距離
(災害時の人間の歩行能力に関する研究)
・東京消防庁の救急活動より得られた記録
・戦災時における避難距離より得られた記録
・1978年宮城県沖地震(午後5時頃発生)より得られた記録
上記より、概ね帰宅限界距離は20Km程度と考えた。

帰宅困難者対策の経緯

「多摩地織における地震被害の想定に関する報告書」東京都防災会議(1985)
・世界で初めて大都市の地震時における帰宅困難を想定
・1978年のPT(パーソントリップ)調査
・当時は「被災場所から自宅への帰宅の困難」と「自宅から就業地への出勤困難」が主な問題と認識されていた。

「首都直下地震避難対策専門調査会」中央防災会議(2006~2008)
・発災直後の一斉帰宅による混乱などの発生
 一斉徒歩帰宅者の抑制、円滑な徒歩帰宅のための支援
・都心部等での大量の滞留者の発生・駅周辺での混乱の発生
 滞留者支援、困難者搬送、駅周辺の混乱防止と円滑な誘導体制、行動モデル提示
・トイレや休憩場所の不足・避難所運営の混乱
飲料水やトイレなどの提供、避難所での対応の明確化、混雑情報の収集と提供、企業や学校施設の外部からの帰宅困難者対応、困難者の救助活動への参加促進

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東日本大震災で顕在化した新たな課題

「首都直下地震」までに解決しなければいけないこと
◆行政施設のキャパを超える困難者・徒歩帰宅者が発生
・安全なスペースの不足(特に仙台)
・駅前の混乱(多さは駅によって違った。駅に向かわせない対策を!)
・より積極的な滞留対策の必要性
◆予想以上の大渋滞が発生
・車の利用が多かった(特に送迎)
・効果的な交通規制と帰宅困雛「車」の滞留対策の必要性
◆情報伝達・情級共有の難しさが改めて顕在化
・携帯電話の2/3が全く利用できなかった
・事前の情報共有の必要性
◆モノ不足の発生(物流の機能不全+ストックの少なさ)
・豊富な備蓄の必要性
◆次回の行動
・もう一度同じ行動を取る人が多い
・滞留促進に関する周知をより積極的に図る必要性

帰宅困難者対策のこれから

大都市における大規模地震発生時の「被災概要」
・多数の建物の倒壊
・同時多発火災の発生
・道路の被害・不通
・膨大な救急ニーズ、
・電気・ガス・水道の停止
・電話・携帯電話の不通
・深刻な経済被害
・物流の停滞とモノ不足

東日本大震災における首都圏の帰宅困難現象の特徴
・道路の被害がほとんどなかった
・建物倒壊や大規模火災がほとんどなかった
・救急ニーズがそこまで多くなかった
・当日夜には一部の鉄道が復旧した
・携帯メールやインターネットなど通信網がやや使えた
・停電も起きず,テレビやラジオが使用できた
・ガスや水道も使えたところが多かった
・交通規制が行われなかった(高速除く)
・平日であったため通勤者が多かった

以上のことから、想定よりかなり中途半端な帰宅困難現象だった。
また、アンケートからも実はあまり困っていないことがわかった。
→マスコミなどで「帰宅が大変だった」ことがクローズアップされがち
→帰宅困難者問題の「明確化」が必要

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帰宅困難による本当の被害
「帰れなかった、疲れた…」は、災害時には被害とは言わない
・倒壊や火災や集団転倒(群衆なだれ)
・モノ不足(備蓄品の不足、救援物資等の遅延含む)
・事業継続・社会的復旧の遅れ
・地域の継続(治安の悪化含む)
・応急対策の阻害(救急・消火・物流等)

帰宅困難者の類型化
きめ細かい対策を行うためには帰宅困難者の類型化が必要
1 長距離徒歩帰宅者
長距離を徒歩で帰宅しようとする人で、2次被害に巻き込まれる可能性も高い。一斉の長距離徒歩帰宅は積極的に減らす必要がある。

2 自社滞留者
鉄道運休時に社内で勤務中であったり自社付近にいるなどした人が一時滞在する(知り合いの家や通学者も含む)。滞留させる環境づくりが大切。

3 受け入れ希望者
鉄道運休時に自社付近にいない通勤者・通学者や滞留拠点を持たない私用外出者(休日に特に多いものと予想される)課題が多い。

4 鉄道移動者
鉄道運休時に鉄道に乗車していた帰宅困難者。特に朝の鉄道運休時は多いものと考えられ、駅前施設の滞留対策が必要。

5 帰宅困雌「車」
緊急車両・支援車両の妨げになる。すなわち潜在的な加害者になる可能性があり、減らす必要がある。送迎の禁止や駐車場の開放なども求められる。

6 超長距離移動者
長期の滞留が予想され,宿泊施設などによる対処が求められる。

7 出勤困難者
事業継続に大きな影響を与える

帰宅困難者対策の進め方
(3月には東京都で条例設置)
◆どのように役割分担すべきか?
・国レベル
広報・周知(車を使わない,徒歩帰宅をさせない)。帰宅困難者の資産や研究。時差帰宅やグループ帰宅方針の確立と運用

・都市圏(広域)レベル,都道府県
徒歩帰宅者支援施般の確保(企業などとの協定)。交通規制計画の策定(+警察・消防)。代替輸送。一時滞在施設の確保。

・基礎自治体レベル
地域の避難者の確保。一時滞在施設の確保。DPCの促進

・マスメディア
鉄道情報の素早い伝達。学校の情報や地域の安心情報を流す。無理な帰宅の抑制を周知。受け入れ施設情報の伝達。

自治体の役割

◆企業などとの協定の締結
・協定を結ぶことで災害救助法の対象となりうる(帰宅困難者、避難者)
・避難所の安全性については、応急危険度判定は時間がかかりすぎるため、免責が現実的対応。ただし、災害救助法で建物が壊れても国家賠償が可能。
・帰宅支援はあくまで水やトイレ・情報のみの提供となっているが…?
・受け入れ協定には、横浜市では1日としている。経費は企業持ち。
・企業名等を出さないでほしいという要望もある。

◆情報共有と直後対応
・駅・地域・行政間での情報共有が難しかった。結局、人が走っていった。
・現地対策本部はつくっている余裕がないため、自律的に地域や集客施設で立ち上げてもらう。
・代替輸送や物資の確保

◆質的対応
・超長距離移動者対策として観光客等への情報提供やホテルの確保。
(台東区ではホテル旅館との協定している)
・福祉避難所のような機能を持った滞在施設の確保(震災関連死を出さない取り組み)


帰宅困難者対策の長期的方針

◆帰宅困難者「問題」からの脱却を目指して
現在は帰宅困難者による様々な問題が山積みであるが、帰宅困難者を事業継続や救助活動に活用することで、少しでも多くの命を助け+早期の復旧を実現することが、帰宅困難者対策の理想的目標像。

参加したセミナー・震災対策講演会の報告は以上です。

<展示会、出展ブース見学>

セミナー出席後は、会場のブースを見学しました。
担当者と話をし情報や資料提供いただいた出展者は以下の通りです。

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・日本気象協会
横浜市で稼働している地震震度情報、気象警報、注意報等を始めとする防災情報をEメールで配信するサービス。

・気象庁
緊急地震速報、新しくなった東海地震に関する情報、津波情報について。

・防災科学技術研究所
i地震クラウドシステム(iPad等で作動するクラウド型地震観測システム)

・ジェッセ
災害時要援護者支援システム(ビジネスマッピングシステムの活用)

・愛知デジタル画像解析技術研究会
デジタル画像による建物調査(デジタルカメラによる撮影と画像診断技術の活用)

・BPC相談コーナー
豊田自動織機の防災をみんなで考えよう
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〔感想・岡崎市への反映〕
第16回になる震災対策技術展ですが、今年は東日本大震災のあとということで、たいへん注目されるイベントとなり、来場者も多く、どのセミナーも満員状態でした。
本市は、これまで地域防災計画等を策定し、地震対策を積極的に推進してきましたが、想定される東海地震等が発生した場合、甚大な被害を受けるおそれがあります。
また、平成12年の東海豪雨や平成20年8月末豪雨では、市民の尊い命や貴重な財産を失うなど、大きな被害を受けています。

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こうした状況において、災害から生命や財産を守るためには、災害に強いまちづくりを最重要課題として位置づけるとともに、この度の震災対策技術展での研究や技術を参考に安全で安心なまちづくりを推進してまいります。

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