視察内容:第73回全国都市問題会議
視察者:新海正春、蜂須賀喜久好、田口正夫、簗瀬 太
<第73回全国都市問題会議概要>
1 .主催者
【主催】全国市長会、(財)東京市政調査会、(財)日本都市センタ一、鹿児島市
【協賛】(財)全国市長会館
2. 開催日時
第1日 平成23年10月6日(木) 午前9時30分開会
第2日 平成23年10月7日(金) 午前9時30分開会
3. 開催場所
開催都市:鹿児島市
会場:鹿児島市民文化ホール
4. 議題
「都市の魅力と交流戦略~地域資源×公共交通=地域活性化~」
5. 会議の内容
第1日(10月6日) 特別講演、基調講演、主報告、一般報告
第2日(10月7日) パネルディスカッション
<議題について>
今回のテーマは、「都市の魅力と交流戦略~地域資源×公共交通=地域活性化~」である。
地域資源を最大限に生かして交流人口の増加を図り、賑わいと活力を生み出すことは、各都市の共通の課題となっているが、この課題の解決にあたっては、地域間及び地域内の移動手段となる公共交通は重要な要素であり、それを地域資源といかに組み合わせるかは、「交流戦略」の大きな柱である。
今回の会議では、そうした取組みを調査するとともに、市長及び学識経験者の方々の講演と報告、そしてパネルディスカッションを通じて、各都市の魅力ある地域資源の価値と活力向上のための戦略を考察していきたい。
<第1日(10月6日) 特別講演、基調講演、主報告、一般報告>
【特別講演】
「3/11からの復興と安全なまちづくり」
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授 大西隆
1、東日本大震災と減災思想
今回の津波の(そしておそらく原発災害についても)教訓として最も重要なことは、想定を超えた巨大な災害が発生する可能性は常にあり、それへの対処には、「減災」の考え方をもって当たるほかない。
2、予防的な対策
減災の考え方に基づく対策
①防災施設の整備
②住宅の高台移転等の安全なまちづくり
③避難施設整備や避難訓練の徹底
3、人の繋がりによる、防災力と自治体間の協力
自治体間の人材派遣を中心とした協力が、被災地と全国を結ぶ多様な連携と支援の輪を広げることに役立つように、被災地からの復興状況報告を適宜行って、復興への歩みを職員間だけではなく各地の市民とも共有していくことが必要であろう。これらが被災市町村の活動を支えることで、被災地主導の復興が可能となる。
【基調講演】
九州新幹線とまちづくり
九州旅客鉄道株式会社代表取締役社長 唐池恒二
1、九州新幹線(鹿児島ルート)
・第一期開業2004年3月13日 新八代~鹿児島中央間
・全線開業2011年3月12日 博多~鹿児島中央間
・全線開業効果を「タテ軸」から九州全域の「面」へ
2、新博多駅ビル「JR博多シティ」
・2011年3月3日開業
・開発面積22,000㎡ 延床面積200,000㎡ 10F~B3F
・阪急百貨店、東急ハンズ、シネコン、専門店(約230店)
・「ハコ」から「エリア」へ
3、都市の魅力の3要素
・安全・安心
・歩く楽しさ
・食とお土産
4、まちづくりのポイント
・地域の共同体意識(ゆい)
・誠実
・おもてなしの心と表現
5、まちづくりには「気」・・・「気」を満ち溢れさせるには
・スピードとキレのある動き
・明るく元気な声
・スキを見せない緊張感
・向上しよう、成長しようというどん欲さ
【主報告】
新幹線の開業効果をまちの力に
-地域特性を生かした魅力づくりと情報発信一
鹿児島県鹿児島市長 森 博幸
1、「第五次鹿児島市総合計画」における交流戦略
現在、鹿児島市では、来年度スタートする新たな総合計画「第五次鹿児島市総合計画」の策定に取り組んでいるが、これからの10年は、これまでの人口増加に伴う右肩上がりの成長を前提としたまちづくりから、人口減少に加え、少子高齢化による人口構成の変化を的確に見据えた都市戦略への大きな転換期になると想定される。
そこで、それぞれの都市の有する特性を活かした交流戦略によって活力を創出していくことが、今後さらに重要になる。
交流戦略において、交通機能は重要な要素の1つとなるものであるが、九州新幹線鹿児島ルートが開業し、本市を取り巻く時間地図は大きく様変わりすることとなった。
2、新幹線全線開業を踏まえた取組
・鹿児島市観光末来戦略の策定・推進
全線開業を5年後に控えた平成17年度、新幹線全線開業を見据え、行政・企業・市民など観光に関わるすべての人々の行動指針として「鹿児島市観光末来戦略」を策定した。「"一味違う鹿児島"魅力多彩な国際観光都市の創造」を基本コンセプトに、「"感動"魅力あふれる鹿児島の創造」など4つの基本方針と15の重点戦略を掲げ、今年度を目標年度として、官民一体となって各種取組を戦略的に推進してきている。
・新幹線開業効果をまちの力に
観光末来戦略に基づくさまざまな取組を中心に、「自然・歴史×新幹線×多彩な都市内交通」「食×新幹線」といった、今回の議題に関連の深い地域資源と公共交通を組み合わせた取組事例について紹介があった。
【一般報告】
地域資源の観光資源化を成功に導く価値創造アプローチ
株式会社バリュー・クリエーション・サービス代表取締役
株式会社リクルートじゃらんリサーチセンター客員研究員
社団法人日田市観光協会事務局長 佐藤真一
1、"カスタマー視点"×"メディア視点"の考え方
地域活性における観光振興のアプローチ手法として「"カスタマー視点"で地域が潜在的に持つ価値を発見し、"メディア視点"でプロデュースする」という考え方を基本としている。
組織運営の基本に"カスタマー視点"での価値創造を掲げ、事業運営の基本に"メディア視点"でのプロデュースを掲げ推進する。
2、じゃらんリサーチセンターのGAP調査
地域資源の観光資源化をサポートするツールとして「GAP調査」という手法を提供してきた。このGAP調査は、対象となる地域が有する自慢の地域資源を観光振興の対象とするエリアの方々に対して、「期待度X満足度」「認知度×関心度」という2つの切り口でアンケート調査を行い、多くの地域資源の中から観光資源化が可能なものを抽出することを目的としている。
3、観光客を動かす2つの行動ソフト
「情報」と「サービス」が行動ソフト。1つめの「情報」は、その地域資源の本当の価値が観光客に正しく情報として伝えること。2つめの「サービス」は、商品としてのサービスレベルを上げ、期待度と満足度を一致させること。
4、情報発信を科学する
情報デバイスの革新(デジタル化/ユビキタス化/インタラクティブ化など)により、情報の質&量に変化が起こっており、これからの時代は、情報発信における科学的アプローチがこれまで以上に成功の可否を決定づける。
5、「自分サイズの戦略」×「共働による推進」
「自分サイズの戦略」とは、他地域の成功事例を単純にそのまま自分の地域に適用しても成功に導くことが難しいため、自分の地域に合わせたカスタマイズが必要という意味の言葉。「共働による推進」とは「自分サイズの戦略」を描き、実行に移す段階で「誰かがやる」のではなく「皆でやる」ことの重要性を説いた言葉。
【一般報告】
上田市の魅力づくりと地域活性化
長野県上田市長 母袋創一
1、まちづくりへの思い
私が理想とするまちのあるべき姿は、ひ・ふ・み「品格、風格そして魅力あるまち」である。
2、魅力あるまちづくりに向けての戦略
観光をリーディング産業と位置づけ、「四季を通じた誘客」と「滞在型観光の推進」を念頭に、既存の観光資源を組み合わせて付加価値をつけ、魅力アップを図ったり、地域に埋もれている資源を掘り起して、ブラッシュアップし、上田の新たな観光資源として全国にPRするなど、様々な取組をしてきた。
3、上田フィルムコミッション
上田は、「屋根のないスタジオ」、「ロケのまち上田」として、信州上田フィルムコミッションが映画、ドラマ、CM、プロモーションビデオ等のロケーション撮影の支援を積極的に行っている。
4、地方鉄道別所線の観光面での活用
別所線再生支援協議会を中心に「乗って残そう」をキーワードとし利用を促進。ラッピングした車両の運行やアニメ映画サマーウォーズ号の運行、細田守監督とのトークショーなどを行なった。
5、新たな観光ブランドの創造
現在、戦国の英雄「真田幸村公」を主人公としたNHK大河ドラマの実現に向け、民・官協働で署名活動に取り組んでいる。
6、まちの新たな魅力、価値の創造
上田地域には古くから文化・芸術活動の中心地として受け継がれてきた歴史・風土があり、これを後世に継承するとともに、併せて、文化芸術の力によるまちづくりに変化を起こす目論見の中で挑戦している。
一日目の日程は以上でした。
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